財務とは、「財政に関する事務」(出典:デジタル大辞泉(小学館))となっています。英語に訳すと「Finance」と訳されます。
財務は、「企業のお金を管理する」「資金調達する」ということを指していると考えられます。
会社で「財務」と言ったら、「事業計画策定・進捗管理」「資金の管理・調達」という事を指すと考えられます。
なぜ、財務機能が必要であるかといえば、会社が継続的に事業を続けていくために「どのような仕事で稼ぐか」「どれだけの資金が必要であるか」ということを過去の数値や外部環境をもとに予測していく必要があります。「事業計画策定」「資金管理」が必要であるかの理由は以下のとおり。
1.事業計画策定の必要性
事業計画は、会社がすすむべき方向を表したものです。
つまり、会社が「どのような事を行い(事業)」「どれだけ稼ぐか(利益)」「どれだけの資金が必要であるか」を行動計画と数値で表したものと言えます。
書面にすることで、①自社の課題が明確になる、②他者への説明が可能となり。③計画進捗中における軌道修正が可能となります。
①自社の課題が明確になれば、どのような事をすればいいのかという行動にもつながってきます。例えば、売上向上しなければならないという課題があった場合、①どの顧客に対し、②いくらの単価で、③どのくらいの数量を販売するのか、④新製品を投入し、⑤どれだけの利益を稼ぐのか。⑥そのためにどのような行動をしなければならないのかと分解することで、どの部分を変えていけばいいのかが明確になってきます。
②書面にすることで、他者への説明がしやすくなります。例えば、従業員に対して、「どのような行動をしてほしいか」「その結果、このような数値を出してほしい」と具体的な説明が可能になってきます。会社全体でどのくらいの利益を稼ぐ見込みであるかの説明も可能となります。
資金調達においても金融機関や投資家向けに事業計画を提示し、融資や投資の検討をしてもらうためにも必要なものであります。
2.資金管理の必要性
損益計算書上では、商品の販売で売上は計上されますが、現金が同時に入ってくるとは限りません。売掛金、受取手形、買掛金、支払手形といった信用取引を行っている現在、売上と資金回収にズレが出てきてしまいます。このズレを手元資金で補えるのであれば問題はないですが、手元資金が不足する場合、資金調達をしなければなりません。もし、資金調達ができなかった場合には、黒字倒産の可能性が出てきてしまいます。そのような事を防ぐためにも資金管理は必要になってきます。
「財務」と「経理」が混在している企業の方が多く見受けられます。「経理」と「財務」は、どのような違いがあるのか、業務内容の違いについて説明をしていきます。
「経理」の業務内容とは
経理の主な業務内容は、会社から入金、出金といった資金の管理、流れの記録、決算書の作成、会社経営にとって重要なお金の管理が主たる業務となります。
具体的には、会計システムへの仕訳入力、経費精算、入出金管理、税金申告、会社によっては、給与計算などがあります。
「財務」の業務内容とは
財務の主な業務は、①会社経営方針の策定、②事業計画の立案・進捗管理、③資金計画の作成、資金調達、④M&Aなどが主たる業務になります。
具体的には、過去の決算書、事業計画をもとに、予算編成・事業計画の進捗管理や資金繰り表作成、資金調達などになります。
上場企業や上場準備会社の場合、財務業務以外にも、M&AやIR、財務報告に関する業務といった業務が行われています。
経理・財務が担当する業務は幅広いため、どのように役割分担するかは、会社ごとに違いがあり、部内において各々の役割や担当範囲を明確にし、実施していくことが重要になってきます。
つまり、「経理」は過去の収支・資金管理、「財務」は将来の収支予測や資金予測をする違いがあると考えるのがよいと思われます。